(旧ブログ掲載記事に基づき一部改変しています)
伊丹空港4.0と名付けてみる
伊丹空港(大阪国際空港)の未来について考えてみようと思ったのですが、少し調べてみると思った以上に複雑な話だった。。。orz
伊丹空港が廃港になるという話は一体何だったのかという件
私を含めて、伊丹空港は将来的に廃港になるという勘違いをしていた方は少なくないのでしょうか。
その要因は大きく二つあると推察します。
(1)騒音問題。
1970年代ごろから地元自治体を中心とした廃港運動などがありました。そして、関西国際空港の開発の話が進みだしたとき、当時運輸省の答申で、「関西国際空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、その位置及び規模を定める」とあるようです。
しかし、その後の紆余曲折を経て、大阪都心に近いという利便性などから、関西国際空港の建設が始まったのちに、運輸省と地元自治体が、「大阪国際空港の存続協定」を結んでいたようです(1990年)。そして、1994年に関西国際空港が開港、1997年には大阪モノレールが開通いたします。(騒音問題に対しては発着枠制限が設けられた)
(2)伊丹副首都構想
関西広域連合の提言で、2005年ごろからあった構想のようですが、大々的に報じられたのは橋下知事の登場以降ではないでしょうか。
当時、関西国際空港は巨額の負債をかかえ、一方で伊丹空港は黒字となっていました。関西経済は地盤沈下の一途をたどっていた時代です。航空機の増便など考えもつかない時代で、2006年には神戸空港も開港。関西に空港は三つもいらん!!と盛んに言われた時代でした。
伊丹空港の発着を関西国際空港に振り替えて、関西国際空港の経営を底上げするとともに、伊丹空港を廃港にして、そこに副首都を持ってくる! という構想です。(そういえば、米軍基地を関西国際空港に持ってくる云々の発言もあったくらい、関西国際空港の取り扱いを持て余していた時代でした・・・)
リニア新幹線が開通すれば、東京-大阪間が1時間程度になり、伊丹空港の東京便の減少が見込まれること、東京一極集中の打破、災害時の首都機能バックアップなどがうたわれ、明るい話題の無かった関西に、伊丹空港跡地副首都化は一筋の光明でした。
その後、結局伊丹空港は廃止するんかい?廃止せえへんのかい!?するんかい?せえへんのかい!?すると思ったら、せえへんのか~い!! という乳首ドリル状態でした(笑)
しかし関西三空港は復活・更なる発展へ
そこから、関西三空港は奇跡の復活を遂げます。きっかけは、2010年から進められた関西国際空港の貨物ハブ化、格安航空会社(LCC)の拠点化です。
関西国際空港の発着回数・利用客数はインバウンド増加もあり、うなぎのぼりとなりました。インバウンドだけではなく、貨物量も増加傾向を示しています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E8%A5%BF%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E7%A9%BA%E6%B8%AFより引用
東京一極集中化との対比で沈み続けていた10年前の大阪から見れば、隔世の感があります。
関西に空港は三つもいらん!!という時代もあったのは確かですが、今や関西圏の重要な成長エンジンとなりつつあります。今後はいかに三つの空港を連動的に生かしていくかが重要な課題となるでしょう。
豊中市長が、伊丹空港の国際便就航に言及するなど、伊丹空港もイケイケです。
https://www.sankei.com/politics/news/181031/plt1810310013-n1.html
現在の流れでは、跡地副首都化はもうないな。阪急の伊丹空港新線開発の話もあり、今後も目が離せません。
エドワード・ルトワック氏の「日本4.0」に倣うのはおこがましいですが(笑)
これからの伊丹空港を伊丹空港(大阪国際空港)4.0と名づけてみては如何でしょう?
伊丹空港1.0:騒音問題がメインであった時代(高度経済成長期)
伊丹空港2.0:廃止論がありつつも関西空港がお荷物であった併存時代(バブル崩壊後大阪地盤沈下期)
伊丹空港3.0:インバウンド増加に沸く現在(大阪経済復活期)
伊丹空港4.0:世界都市大阪を目指すこれからの時代
というか、〇〇4.0というネーミングは何でも行けそうです。