新型コロナウイルス肺炎の影響で、大阪ミナミの街の人込みが緩和しています。
体感的には、10年ほど昔と同じくらいの感じでしょうか。これくらいの込み具合の方が、地元民にとっては暮らしやすい。
ただ、2010年ごろ以前といえば、難波・心斎橋周辺が寂れていたころ・・・、静かめの街があまり長く続くことも心配です。
最近インバウンドに沸いていた大阪ミナミですので、新型コロナウイルスの経済面への影響は非常に大きいと思われます。
今回のできごとは、大阪はもちろん、日本全国がインバウンドに頼りすぎた経済状態を再考する良い機会と捉えることもできるでしょう。
大阪の更なる発展のために、インバウンドを超越せよ
観光産業は国に成長をもたらさない
来阪外国人観光客は、2011年には158万人でしたが、2018年には1142万人と7倍以上に増加しました。
関空から大阪への流入窓口が難波であることもあり、閑古鳥が鳴いていた2000年代と比べ、2010年代には外国人観光客の影響で大阪ミナミは活気を取り戻しました。それに関する記事は、以下の通り。
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心斎橋の大丸は大阪の衰退と復活の象徴
2019年9月20日に心斎橋大丸の本館がリニューアルオープンいたし ...
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インバウンドにより、大阪の観光産業が潤っていたことは間違いないです。
しかし、観光客が来なくなったらインバウンドは終わり。そう、インバウンドに頼る観光産業は、国や地域に何ら「成長」をもたらしてはいません。
今回の件は、インバウンド・オンリーのビジネスは危険だということを再認識する絶好の機会と思います。
大阪が今後、国際都市としてさらに発展していくためには、「インバウンドはあくまでボーナス」というつもりで、インバウンド収入が少々減っても何ともないよ~!という基礎体力をつけていってもらいたいです。
観光はあくまで余技です、といえる都市作りを!
やはり、ビジネスの創生に軸を据える必要があると思います。大阪万博2025は、まさに大阪主導で新たなイノベーションを引き起こすチャンスと思います。続々と、新しい会社が生まれてくるような制度作りに、何とか知恵を絞っていただきたいです。
また、大阪発祥でありながら、本社機能を続々と東京に取られている現状を逆転させるようなムーブメントも作ってもらいたいです。
それこそ、大阪をイノベーション特区にして、大阪に本社を構えると10年間法人税無税にするとか。東京から大阪に本社を戻したらUターン減税するとか。こういった大胆な政策については、中央省庁が協力的でない可能性もあるので、例えば大阪府で大阪府民からの募金を呼び掛けて、大阪発のベンチャー企業のスタートアップ資金を融資するとか。クラウドファンディングのような発想なのかな?きっと大阪府民は協力するはず!
また、テレビのキー局が東京に集まっていることが、情報発信の面で大阪が劣勢に立たされる要因にもなっています。テレビのキー局を奪う必要はありませんが、これからはネット番組の時代。ネット番組を作りやすい環境を何とか整備して、ネット番組といえば大阪!というような流れが何とか作れないものだろうか。
ともかく、いろいろと知恵を絞ってもらって、「大阪はビジネス都市です。観光も余技としてやってます」という状況を作っていくことが大切だと思います。
卵を一つのかごに盛らない観光戦略を
とはいえ、大阪は観光資源に恵まれた魅力的な都市。京都・奈良・神戸などと隣接していることも、観光という意味では圧倒的な優位性があります。これを生かさない手はない。
ただ、今回のように急に外国人観光客が来なくなることは、きっと今後もあるでしょう。南海トラフ地震もいつ起こるかわからないし。。。
それを想定して、
①東アジア偏重から他の地域からの観光客も増やすようにしていく。
②なにより、日本人観光客を大切にする。
この両方の心構えが重要だと思います。
そして、外国人観光客が急に途絶えても生き延びれるように、経営の多角化も考えておくべきだと思います。
今回の騒動は、大阪が進むべき道を再考し、新たな都市発展のモデルとなる良い機会ともなるかも知れないし、何も学びがなければ今後も同じことを繰り返すでしょう。
このグリコの看板が、世界的に有名な看板になろうとは、10年前には思ってもみませんでした。
それはそれで良いことなのですが、やはり観光ありきのビジネスモデルは危険をはらんでいます。訪日外国人3000万人目標!とか、数値目標はかえって害になる場合もあるかと思いますので、「観光客はそこそこで、日本は観光業だけに頼らない地力をつける」ことを目標にした方がよいと思う今日このごろです。