大阪・関西万博において、屈指の人気を誇る、イタリア館のダイジェストです。
なかなか予約が取りにくいパビリオンになりますが、行く価値あります!
とにかく、イタリアの歴史的遺物の現物を惜しみなく展示しているという、その意気込みに経緯を評したいです!
大阪・関西万博2025のイタリア・パビリオンのダイジェスト!
ちなみに、イタリア館の場所は、ここです。
大きく、三つの目玉があります(ファルネーゼのアトラス、カラヴァッジョのキリストの埋葬、レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿)が、主な展示物を順に見ていきましょう。
アルトーロ・フェリランの飛行機
パビリオン正面入り口に入ってすぐに目を引くのが、アルトーロ・フェリランの飛行機の模型です。

アルトーロ・フェリランとは、1920年にイタリアー日本の飛行を達成したパイロットとのことです(日欧間初飛行)。
もちろん、万博会場を訪れるまで、アルトーロ・フェリランなる人物のことは知りませんでしたが、105年も昔の日伊友好の架け橋となった人物を知ることができるというのは、万博の醍醐味だと思います。万博イタリア館を訪れなかったら、知ることがなかったことです!
ファルネーゼのアトラス

続いて、飛行機の模型の奥にあるのが、三大目玉のひとつ、「ファルネーゼのアトラス」。紀元2世紀の大理石の彫像の現物です!
紀元2世紀といえば……日本で言えば、古墳時代より古い!
仁徳天皇陵より古い遺物が大阪に上陸していると思うと・・・激アツです!!

近くでみたところ。
せっかくなので、天球儀をアップしてみましょう。

船とか、馬とかが描かれているようです。
ところで、「地球が丸いかどうか分からない時代」に、球状のものを担いでいるというのは、かなりの先見の明があったということになりますね!!
アトラスと現代の神話
人間と宇宙の関係を擬人化したアトラスは、旅のシンボルであり、西洋と東洋を結ぶ理想的な存在です。イタリアパビリオンの中心である広場に設置されたアトラスは、「私」(個人)、「私たち」(社会)、「Territorio」(国土)、「Spiritualità」(精神性)をテーマとして、さまざまな展示エリアをローマ教皇庁の存在とともにつなぐ役割を担います。ファルネーゼ・アトラスは、イタリアがパビリオンで展開する未来の物語の象徴となり、地中海を発祥の地とする、文化間の強い対話精神を特徴とするグレコ・ローマ文化の哲学的・人文主義的思想を引き出しています。
科学と芸術:石に描かれた宇宙
アトラスが支える球体は、6mmの浅浮き彫りで精巧に彫られています。これは宇宙を象徴するもので、星座、星座、四方位、天と地が当時の理論に従って描かれています。
天空を支えようとする巨人の努力を表現するという明らかな芸術的価値に加え、この作品には、何世紀にもわたって天文科学に影響を与えたもうひとつの価値があります。というのも、天球上の星座の表現は、古代において最も正確なもののひとつなのです。
アトランテ・ファルネーゼでは、技術的・科学的知識が、普遍的な物語、巨人の労働への共感、作品の芸術性と融合しています。人間の感性、発展、革新の間のつながりを求めることが大阪万博2025におけるイタリアのメッセージであり、それこそが、アトランテ・ファルネーゼが今回の旅に同行することになった理由です。

後ろ姿。2世紀のものが、近代的な映像展示と並んで展示されているのが、良いですね!
カラヴァッジョ「キリストの埋葬」

続いて、三大目玉のふたつめ、カラヴァッジョの「キリストの埋葬」です。
美術的なことは全く分かりませんが、ヴァチカンが所蔵する唯一のカラヴァッジョ(1571年9月29日 - 1610年7月18日)作品だそうです。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョによって、ローマにあるオラトリオ会の教会サンタ・マリア・イン・ヴァッリチェッラのヴィットリーチェ後援によるピエタ礼拝堂のために制作された『キリストの埋葬』は、荘厳で厳粛な作品である。クロパの妻マリアの叫びと身振りによって引き裂かれた沈黙のドラマが展開されるこの絵画は、礼拝堂の祭壇に置かれ、信者に向かって、聖別された聖体の中に常に生きて真実の犠牲として現れるキリストの姿を映し出し、並外れた視覚的力で迫ってくる。1602年から1604年の間に制作されたこの作品は、妥協のないリアリズムと光の劇的な使用によって、美術界に革命をもたらしたロンバルディアの芸術家、カラヴァッジョの絶対的な傑作である。
文: バチカン美術館キュレーター、アレッサンドラ・ロドルフォ氏。十字架からのイエスの降架は、キリスト教信仰の神秘の中で最も劇的な瞬間の一つです。イエスは十字架上で亡くなり、今や死においてすべての人々が辿る運命に従います。つまり、墓に納められなければなりません。この場面を前にして、希望は打ち砕かれたように見えます。目に見え、手に触れるのは、死のドラマだけです。しかし、希望によって照らされた信仰は、目が知覚するものを超えた、より深い理解を可能にします。神の子の死は、神がどのように愛するかを人間的な言葉で表現する上で、頂点となる行為です。キリスト教の愛は、ここにその存在理由を見出します。愛のために引き受けられた死を前にして、神は死そのものを克服する方法を発見することを可能にするのです。降架はイエスを母の腕に抱かせ、弟子たちに三日目の到来を待ち望むように促します。降架は、必要不可欠な過程ではありますが、常に、そしてただ、与えられる命への希望によって照らされた段階にすぎません。だからこそ、愛は真の勝利者なのです。なぜなら、愛は死を打ち砕き、永遠に続く命を与えるからです。これこそが希望の文化です。命と愛は共に歩み、人間の存在にとっての真の、そして最後の障害を乗り越えるのです。
文: リノ・フィジケッラ大司教猊下
レリーフ

いくつかの、古代のレリーフの展示もあります。

「剣闘士の墓碑」という、紀元2世紀の石碑です。

文字をアップにしてみましょう。ラテン語でしょうが、紀元2世紀にアルファベットがあったということに感動を覚えます。

「使徒ペトロとパウロが描かれた浮き彫り」紀元4世紀のものです。
レオナルド・ダ・ヴィンチ(アトランティック手稿)

そして、三大目玉のみっつめ。これがッ!! レオナルド・ダ・ヴィンチ直筆のスケッチです。

正直、現場ではゆっくり見れません。写真撮るだけで精一杯。
せっかくなので、ここでじっくり見てみましょう。

拡大してみましょう。陰影含め、丁寧にスケッチがされています。

さらに拡大。

こちらも拡大。
ちなみに、現地ではこんなにゆっくり見れませんので(笑)、ゆっくりご覧あれ!
ということで、全ての展示物はもちろん網羅していませんが、だいたいこんな感じです。
まとめ
大阪・関西万博のイタリア館は、歴史的遺物の現物を惜しみなく展示しています。
特に、ファルネーゼのアトラス、カラヴァッジョのキリストの埋葬、レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿は目玉となる展示物でしょう。
イタリアにおいても貴重なものが、日本でまとめて見ることができるという貴重な機会となっています。
アメリカ館やフランス館も良いですが、やっぱり歴史的遺物の現物展示の持つ重みというか、エネルギー感はすごいと思いました。
屈指の人気パビリオンで、なかなか入館が難しいですが、ぜひ訪れていただければと思います♪