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大阪人よ、怒れ!:堂島の米先物取引の上場が認められなかった件

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当ブログは大阪の発展を心穏やかに願いながら、北摂の魅力を細々と発信しています。

そんな当ブログにとって「心穏やかならぬ」報道がありました。いや、コレ、当ブログだけでなく大阪人みんながマジ切れした方がいいと思います。

コメ先物取引廃止へ  「本上場」認めず300年の歴史に幕(朝日新聞)

米先物の上場廃止 農水省「不認可」で堂島が撤退表明(日本農業新聞)

大阪で行われていた米の先物取引が農水省に認可されず、撤退せざるを得なくなったという報道です。

大阪人よ、農水省・族議員に怒れ!!堂島の米先物取引の上場が認められなかった件

この怒りをシェアしたい・・・分かりやすく解説します!

なぜ大阪人がマジ切れするべきなのか、わかりやすく説明いたします。

「先物取引」というものがあります。

現在では、シカゴやニューヨーク市場の先物取引がさかんですが、世界に先駆けて「先物取引」を行ったのは、なんと江戸時代の大阪なんです・・・!!米(コメ)の相場を決めるために、コメ先物取引が大阪・堂島で1730年、世界で初めて行われました。(なお、シカゴで先物取引が開始されたのは1840年台といわれます)

つまり、大阪には300年にわたる先物取引の歴史があるということです。

これはあまり知られていないことですが、重要な事実です。

大阪は、先物取引の発祥の地なのです。

1939年に大阪のコメ先物取引はいったん中止されましたが、2011年に試験的に運用を再開していました。試験運用から10年を経て、今回本格上場を果たそうとした矢先、農林水産省から「NO」を突きつけられたということです。

農林水産省は、日本にとってもレガシーといえる大阪の伝統を踏みにじるようです。300年の伝統を何だと思っているのでしょうか!?

皆さんご存知のとおり、戦後、大阪は没落の一途を辿ります。そんな大阪にも、2010年台にはわずかながらに希望の光が差し、2025年の大阪万博誘致にも成功いたしました。その先にある、大阪復活のためのグランドビジョンの一つが、大阪の国際金融都市化です。

日本が再び成長軌道に戻るためには、東京一極集中を是正しなければいけません。だって、東京にヒト・モノ・カネが集まりすぎた結果が、現在の日本のゼロ成長ですもの・・・。今までと同じことをやっていては駄目です。大阪が復活し、東京一極集中を打破することは、東京にとっても日本にとっても希望となるのです。

そんな大阪の国際金融都市構想の先行的事業としての位置づけにあるのが、このコメの先物取引の試験運用でした。

農林水産省は、過去の伝統も、未来の可能性も無視して、これをはねつけたのです。将来の日本の成長エンジンをぶち壊したに等しい行為です。

(豊能町牧の棚田)

SBIの北尾社長も怒る!大阪人よ、北尾社長を全力支持すべし!!

SBIホールディングスの北尾社長は、大阪の国際金融都市化に尽力されており、当ブログ的にもひっそりと注目していた人物です。

そんな北尾社長も激おこです。

姿消すコメの先物取引~背後に何が(NHKビジネス特集)

SBIホールディングスの北尾吉孝社長は、今月3日、記者団に対し、「堂島はコメの先物取引の発祥の地で、大阪はこれを失ってはいけない。これを否定することは、『無知蒙昧(むちもうまい)』の、経済を知らない、世界を相手にしない人たちだ」と述べ、国などの対応を強く批判。

重要なので繰り返します。

「堂島はコメの先物取引の発祥の地で、大阪はこれを失ってはいけない。これを否定することは、『無知蒙昧(むちもうまい)』の、経済を知らない、世界を相手にしない人たちだ」

まさにその通り!

過去を踏みにじり、未来の可能性もぶち壊す無知蒙昧の愚か者ですわ。

(能勢町長谷の棚田)

農林水産省はなぜ可能性の芽をぶち壊したのか?

では、農林水産省は一体なぜ、そのような愚かな判断を下したのでしょう。

表向きの理由は、コメ先物市場への参入農家があまり増えなかったということです。確かに、大阪人でもコメ先物取引を知っている人はほとんどいないと思われ、この試みの周知不足という点は否めないでしょう。宣伝工作における失敗と言えます。

しかし、農林水産省が、コメ先物市場の持つ可能性を深く理解していれば、少々の周知不足の状況でも推し進めていくことはできたでしょう。農林水産省の役人にそもそもやる気がなかったというのが最大の問題です。

では、どうして農林水産省はコメ先物市場に前向きにならないのか?

それには、JAと自民党の農水省・族議員の存在があります。

JA(農業協同組合)は米の流通を一手に担う団体です。

農家→JA→卸売り業者→お店

というように、生産されたコメは流れていきます。しかし、コメの先物市場は、この流れを経由しません。米の流通に圧倒的利権を持つJAとしては、自分たちをすっ飛ばして米の価格が決定されるというのは許しがたいことでしょう。そして、JAは自民党の巨大な支持母体の一つでもあります。

なので、JA&自民党議員がこの大阪の米先物取引市場をぶち壊したかったというのには、十分な説得力があると思います。

また一般の農家の人には、「コメの先物取引=ギャンブル」というイメージがあり、投機マネーが市場に入ってきて米がマネーゲームの材料にされるという懸念もあったと思います。この懸念を払しょくできなかったというのも、理由の一つでありましょう。

先物取引は生産者にとって危険なものではないよ」ということに関しては、また記事を改めてまとめてみようと思います(レバレッジをかけている投資家には危険がある場合もありますが・・・生産者には全く関係がない)。

 

農家の中にも理解者はいる

しかし、農家の人々すべてが旧態依然とした考え方というわけではないようです。

産経新聞の8月8日の記事に、このような記載があります。

しかし、高齢化、就農人口の減少と農業を取り巻く環境は厳しくなる一方で、荒廃農地も目立っている。コメ先物に参加する新潟県の大規模生産法人「新潟ゆうき」社長の佐藤正志は「先物取引という新しい流通手段が定着すれば、農業全体の風向きが変わる可能性があった。市場を意識することで、これまでJAに頼っていた農家も「経営」という感覚が生まれたきっかけになっていたかもしれない」と悔やむ。

衰退の一途を辿る日本の農業に「経営」という概念を持ち込み日本農業をリブートする。そのツールとして、先物取引発祥の地である「大阪・堂島」というコンテンツを利用する。というのが、改革心のある農家の考え方なのだと思います。

しかしそういった人々の思いが、「経営」や「改革」なんて面倒くさいことはいい、これまで通りでいい、という人々の心に届かなかったということなのでしょう。

 

先物市場が確立されるということは、農家がJAと先物市場という二つの流通ルートを持つことになります。つまり、農家は「有利な方」を使えばいいという状態になります。なので、個々の農家にとってはメリットがあると思うのですが・・・

また、ジリ貧状態・斜陽の日本の農業がこのままでいいのか、という問題点もあります。

(写真AC恵藤さんの作品より)

大阪の国際金融センター化は農業改革の本丸となるかもしれない

ということで、世界に先駆けてコメの先物取引を成し遂げた大阪・堂島の伝統をベースに、米先物取引を中核事業として大阪の国際金融センター化を目指すという構想は大きなダメージを負ったのですが、当ブログ的には、むしろ戦いはこれからなのではないかと思います。

なぜなら、敵が明らかになったから。

このコメ先物取引をつぶしたのは、旧態依然とした体制を守りたい自民党です。

これを政治的イシューとして、自民党に戦いを挑むということは十分にありえる戦略です。それを成せるとしたら、日本維新の会だけではないかとも思います。さっそく吉村知事がツイッターで反応していたのは良いことだと思います。(当ブログは原則的に、特定の政党を支持・不支持しないスタイルで行っていますが、この件に関しては大阪だけでなく日本の未来にとっても重要なできごとだと考えますので、あえて政党名を挙げさせていただきます。)

ひとまず、SBIグループの北尾社長や、改革派農家の方にぜひとも頑張ってもらいたいと思いますし、大阪人はそれを支持するべきだと思います。少なくとも、当ブログではSBIグループの北尾社長を支持したいと思います。

(大阪市中之島の夜景)

まとめ

大阪・堂島で行われていた米先物取引の上場が拒否されたというニュースについて、怒りを交えながらまとめました。興奮のあまり言葉が乱れてしまったかも知れません(笑)

大阪・堂島は先物取引の発祥の地です。

そのコンテンツをもとに、大阪が国際金融センターを目指すという構想は大きなダメージを負いました。

大阪の発展を願う当ブログとしては、引き続き動きを注視していきたいと思います。

SBIグループの北尾社長は大阪の国際金融都市化に尽力されていると理解しておりますので、当ブログでは支持したいと思います。とりあえず皆さま、先物取引のオンライン口座はSBI証券にしましょう!笑

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